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小原さん 楽譜だけでは伝わらない、細かなニュアンス…実際に踊ってみると体感できる。


もると 今回のレッスンで、このことを一番考えさせられました。
いくらどの拍を長くしてどの拍を速くするかなんて、頭で考えていても歌えないですよね。皆さんそうだと思いますが、楽譜を読んで練習してさらに弾きこんでいくと、いつのまにか指が自由になっていると感じませんか?

たとえば何の音でどの指使いで弾くとか、ここは弱くとかゆっくりとか、和音のバランスとかそういうすべての自分で描いた決め事から自然に解放されて、自分の心のなかで歌っている音楽と、実際に指で弾いている音楽がほぼ一致する(気のせいかも^^;)時を迎えるんです。

この瞬間が、小原さんがいつも言っている、「ピアノが歌うと心もいっしょに歌い出す」ってことなのかもしれないな〜と思います。

もちろん、それでも、その時を迎えたからって、鑑賞に耐えられる完成された音楽というわけではないです。自分の心の中で歌っている音楽そのものがつまらなければ、出てくる音楽だってつまらないんだから。つまり、その人の指から出される音楽というのは、その人の心の中で歌っているもの以上には決してなれないということ。

とくに私のように大人からピアノを始めた人は、技術がないことに目を奪われがちで、「指が思うように動かないから自分は下手なのである」「指さえ強くなってコントロールできるようになればピアノがうまくなる」なんて思いがちだけれど、大切なのは自分の中で表現したいことを音楽的に具体的にメージできるかどうか、なのだと思います。自分自身が歌って(踊って)いなければ始まらない。

具体的なイメージがあるからこそ、自分の出している音とのギャップに耐えきれず(笑)、目指す音づくりのために、(ツライ?)練習の努力もできるのだと思います。

そして、その上で、じゃあどうやって歌ったり踊ったりするんだろう…?って悩んでしまうんですが、ポイントだと思うのは、小原さんがよく言う「空間を感じてみる」ってこと。

私たち人間は生き物だから、きっと自然のなかにあるリズムを心地よいと感じるのでしょうね。
メトロノームにあわせたような無理に均等に割られた拍は、自然の呼吸からすると不自然なんだと思います。歩くように、波に揺られるように、息をするように、自然にまかせて空間を感じてみると、うまくいきそうな気がします。

ワルツで円を描くとき、重力のある地上では昇るときはゆっくり、落ちるときは速くなるように、一定ではないですよね。歩くときも、いきなり車のようなスピードで走ったり、いきなり止まるということはありえない。だからピアノを弾くときも同じで、無理に定規ではかったようにリズムを刻んでしまうと、きっと違和感があるんだと思います。

なかなか楽譜を目の前にすると、自由にリズムを感じてみるって難しいけど、きちんとビートを感じ、その上で自然の流れにさからわずに歌うことができたらいいなあと思います。





さて、課題曲が終わると、休憩をはさんで小原さんのミニコンサート。

小原さんは「何を弾くかは会場でお客さんの顔をみて決める」のだそうで。ギロックの曲を弾いて〜!という私の光線が届いたのでしょうか(笑)、スターライトワルツが載っている楽譜「ギロックの世界」から「セレナーデ」を弾いてくださいました。そして宇田多ヒカル、中島みゆきなどのJ−POP。楽譜は音楽雑誌から切り取ってきたと思われるメロディ譜でした。

ギロックの「セレナーデ」は、初見だったのでしょうか、楽譜をみながらの演奏です。小原さんにはとても珍しいことで、その姿はとても新鮮(笑)。

私は映像が目に浮かぶような素敵な演奏を聴きながら思いました。「小原さんは、楽譜をみているけど、楽譜を再現しているのではなく、音符を読みながら、自分の心の中の動きを言葉(のようなもの)に変換して、それを丁寧に語りかけるようにピアノの音で表現しているんだなあ」と。そして私は小原さんの表現に心底惚れているのです。メロディ譜だけを見ながらJ−POPを一つのピアノ曲にして聴かせてくれる小原さん。自由に、心のままにピアノが弾けるってほんとうに素晴らしいなあと思いました。

さて、公開レッスンの次の日、そのまま実家に帰省し、久しぶりに生のピアノに触れました。今練習中のブルグミュラー、レッスンの効果はいかに?!窓の外では洗車をしている夫(今回も公開レッスンについてきてもらった)が黙って聴いてます。

弾き終わると、部屋までやってきて
「だめだめ!そんな演奏ではオバラに怒られるぞ!(注:小原さんは怒るような方ではありません)伴奏が大きすぎる!もっと優しい音でっ」

ありゃあ、そうですか、自分ではできているつもりで弾いていたのですが…まだまだ私は練習が足りないようです。ごちゃごちゃ解説してるだけではダメですね…^^;PCではなく鍵盤に向かってがんばりま〜す


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