過去の日記

日記 2006/後半

10月13日

ピアニスト ラン・ランのコンサートへ行ってきました。

1982年中国生まれの彼を初めて見たのはNHKの番組で、何かの協奏曲でしたが、何しろ弾く姿やオーケストラを聴いているときのアクションがユニークなこと(満面の笑みで拍子にあわせて首をかっかっかっ!と動かしたり、汗を拭くハンカチをピアノの上に戻すときさえ、腕を拍子にあわせてパッパッパッ!と動かしたり…とにかく変!)ばかりが、記憶に残っていて、まあ偏見ですが、正統派ではない、ちょっと変わったピアニストという風に思っていました。ただ楽しそうに弾くので、それが音楽に現れているなあと、印象は悪くないのですが。

数年後またテレビで、ベルリン・フィルのコンサートのチャイコフスキーの協奏曲でラン・ランが登場したときには驚きました。正直、そんなメジャーなオケと共演するピアニストだとは思わなかったもので…^^;(私ったら失礼ですね)

その時の演奏はとにかく素晴らしくて、例のユニークな動き(?)よりも、堂々としたピアノの音と歌心に圧倒され、本当に感動したのです。機会があればぜひ聴いてみたいと思っていたピアニストです。

それできのう、幸運にも新潟のコンサートホール「りゅうとぴあ」で聴くことができました。ここは4月にキーシンを聴いたホール。2人の音の違いも楽しみです。最初の曲は、モーツアルトのピアノソナタ10番。軽やかで、気持ちよく聴けます。歌心がすごい。好きです。

1曲目が終わると、夫が「キーシンよりも音が小さく感じるんだけど…」私「それはモーツァルトだからじゃない〜、次からはロマン派だからガツン!と来るんじゃないの〜(^o^)」夫「ああそうか!」

続いて、ショパンのピアノソナタ3番。1楽章の美しいメロディに心がとろけそうです。特にピアニッシモの美しさと繊細さに心を奪われました。大切な音を非常に丁寧に扱うところ、音色のコントロールが繊細で、あ〜、天才!と思いました。歌の運びも私の好みで、よく歌うんだけど、スピード感を失わず、ビートが効いていて小気味がいい。

続いて、シューマンの子供の情景、ラフマニノフの前奏曲、リスト「巡礼の年第2年」よりペトラルカのソネット第104番、そしてハンガリー狂詩曲第2番(ホロヴィッツ編)です。

キーシンと同じホール同じピアノで聴いても、音は全然違いました。ラン・ランは丸く柔らかな音色です。歌いまわしも、やはりどこか東洋的なのでしょうか、情に訴えるような感じ…私は親近感をおぼえました。ラン・ラン自身も、演奏中はその曲の世界に行ってしまっている、その世界で感じていることを、一つ一つの音にして、客席に伝えているという感じです。

子供の情景の終曲「詩人は語る」のあとは、十分な時間をとってたっぷりの余韻に浸りたいところなのに、客席の一人がその間をぶち壊す拍手を始めたので残念だった。この日は客席全体のマナーがよく、「音楽をよく知っている」人たち揃いに感じられただけに、この一人だけが残念。

最後のハンガリー狂詩曲はすごかった!まるでオーケストラを聴いているみたい。とにかく楽しくワクワクしまくりの演奏だった。終盤の難しそうなところ、もののたとえではなく本当に片手10本、合計20本の指が動いているように見えた。打鍵は正確。ミスもないのではないか。夫はこの曲をオーケストラでやったことがあるらしく、特に楽しみにしていたのだが、ラン・ランのピアノに感動したようで、ちょっと涙ぐんでいた(笑)

プログラムも、最初はモーツァルトで軽く聴かせて、曲が進むにしたがって圧倒的な音量を響かせテクニックを見せる、その盛り上げ方もさすが。そうそう、以前のユニークな変わった動きは影をひそめ、ステージ上の身のこなしがスマートになっていた。演奏中、ソフトペダルを踏まない時は、ずっと左足で拍子をとっている。演奏のフォームは肩が動かず、とても安定していた。当たり前だが力が全然入っていないんだろうな。どんなに難しそうで速いところも、かなり余裕で弾いている感じ。

曲が終わって、客席はブラボーの嵐。アンコール曲は、本人が英語で説明。中国の曲らしく、月と湖というような曲。そのあとも拍手は鳴り止まず、続いて、なにやら日本のものと思われる楽譜を持って登場。曲が始まってなんと「朧月夜」!!小原さんのリリックピアノのアレンジではなかったが(笑)やはり名曲なんですね!しかし日本の曲をヨーロッパの演奏家が演奏したり歌ったりする時の、ちょっとした違和感…ってありますよね。「歌い方そうじゃないんだけどな〜」っていう(笑)、でもさすがラン・ラン。日本の心そのままで歌い上げていましたよ。すばらしすぎる!季節感がはずれているのはご愛嬌。

アレンジを知りたくて楽譜の表紙を凝視したけれど、わからず!あとでロビーに貼ってありました。石川香さんという方のアレンジでした。楽譜わかるかな?

なんと握手&サイン会もあった。外国人ピアニストでは私は初めて。「何にでもサインします」と言っていたそうだが、せっかくなのでCD、今回のプログラムである「メモリー」のアルバムを購入。近くでお顔を拝見すると、少年の面影を残す若者。映画やアニメ(ドラゴンボールやドラえもん)が好きなんだそうだ。

夫はよほど感動したのか、日本語で「素晴らしい演奏でした」と声をかけていた。私はいつも本人を目の前にすると何も言えなくて、コンサート帰りに悔しい思いをする(笑)

ラン・ラン。大好きなピアニストがまた増えました。